酔屯口軽者研修会(ようとんこうけいしゃけんしゅうかい)

※酔屯口軽者研修会(意:酔ってたむろして軽口をたたく輩の勉強会)

昨年末より西日本くみあい飼料の主催で養豚後継者研修会が開催されている。ほぼ毎週1回のペースで養豚初心者向けにわかりやすく講義をしてもらっている。講師も日頃顔見知りの担当者がつとめてくれて、聴講する方も肩肘張らず、気楽に参加している。多田ファームは、尾上班長をはじめとして、5〜6名が毎回出席している。
 1/26(火)で4回目となりました。講師は全農えひめの前橋獣医師で、「養豚の衛生について」講義していただきました。豚の病気で問題になるになりやすい器官の項目では呼吸器と消化器は外界とみてとり、病気の侵入を防ぐ仕組みが備わっていること。そして病気を引き起こす病原体(ウイルス、細菌、寄生虫)の種類と特徴、また、どのように感染するのか。今日本で問題になっているPRRSとPCV2。一般的に問題になっている腸管感染症と呼吸器病。
いずれにしても豚の病気が農場に広がることは、経済的な損害を被ることになるし、その対応に相当な手間がかかり精神的にも大きなダメージを被ります。多田ファームは病気に対して安定した農場に作り上げるために、病原体の侵入を阻止することができる農場、豚の健康力を増す管理をしなければなりません。
ピッグフローが整理されていれば、病気は拡散しにくいと言われています。それは、ステージ毎に区切られて、オールアウトできる仕組みが出来るからです。また、ピッグフローを正常な流れとして維持することが大切で、まず繁殖部門において定時(季節に関係なく)・定質(体重の揃った)・定量(同じ頭数の豚を)生産するようにしなければなりません。もう一つ大切なことは、何と言っても従事者の日頃の観察力と言えます。異常豚の早期発見と早期対処(治療)、そして豚の発育に適した環境をうまく整えてやることです。
次に免疫の話、現在免疫の定義は「生物が自己と非自己を見分ける性質」とされています。人や豚は進化により、より高度な免疫の仕組みを作り上げ、生きている体を病気や腐敗から守っています。マクロファージ→Tリンパ球→Bリンパ球、うまく連携をとって病原体を攻撃します。その他に顆粒球(好中球、好酸球、好塩基球)があります。免疫と言えば、母乳に含まれている免疫、特に初乳に大量の抗体を含んでおり、初生豚がそのお乳を飲むことによって、病気に対する抵抗力をもらうことを移行抗体と言っています。不思議なことに抗体を大量に含んだお乳は分娩後1日であり、また、それを吸収できる子豚の腸も生まれて1日だけということがわかっています。分割授乳という技術がありますが、一度にたくさん子豚が生まれてきますが、小さく産まれた豚にも充分な初乳を飲ませる必要がありからなのです。
免疫力を低下させる要因があります。ある種の栄養不足、体温の低下、睡眠不足、ストレスなどがそうです。よく「病は気から」と言われますが、それは心配事でくよくよして、ストレスに感じて病気になりやすくなっているということです。また、免疫は腸管で作られていて、腸管内の善玉菌を主体とする細菌叢や食物繊維は免疫にとってプラスに働きます。
やはり、予防を主とした考え方で仕組みを作っておくことです。まず基本は清掃・消毒、そしてそのポイントは乾燥。次にワクチンネーションと抗菌剤の組み合わせ。また、出来るだけ薬剤に頼らないこともたいせつで、豚そのものの免疫力を高める生菌剤の活用。いずれにしても正しい知識を身に付けて、専門家とよく相談し農場に適した衛生プログラムをつくることが大切です。
講義中に居眠りをする不心得者がおりましたが、今日の勉強を現場で活かし結果を出してくれたら、「よし」としましょう。